STARTUP DESIGN

新事業のデザインやブランディングを中心に、クリエイティブ全般について記録するアートディレクターのメモ帳。

スタートアップのサービス用にマスコットキャラの開発をすすめる理由と注意点まとめ

 

先日お会いしたスタートアップの起業家さんに、

「どんな場合にサービス用にマスコットキャラクターが必要になるのか?」

という質問をされることがありました。

キャラクターの依頼をされたときによく口頭レベルでは説明するのですが、

よくよく考えると、企画書にしたり文章化したりすることはなかったので、

これを期に、過去に作らせていただいたキャラを例にしてまとめてみました。

 

 

1.更新力とコスパ力が高い

 

サイトのトップ画面などに、キチンとした写真を撮ったり借りたりするのは、

それなりにお金がかかるし、いつまでも同じ写真をトップに置いておくと

サービスが更新されている印象がなくなってしまう。

キャラクターなら、一度作ってしまえば、文言や背景などを変えて何度でも使えるし、

特にイラレベースで作ったキャラなら、関節を動かしたり表情いじるだけで簡単にバリエーションも増やせる。

何度も改変を繰り返すことができるので、グロースハックの考え方にもなじみやすい。

あとは、タレントと違って、契約料とかかからないのも助かる。

キャラはきちんと育てることで会社の立派な資産になってくれます。

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少しのアレンジで、無数にパターンが作れる例。ゲーム攻略サイト「みなゲー」のキャラ、みなもん。

 

 

 

2.SNSの運営に便利

 

ツイッターfacebookのつぶやきで、キャラがいない場合は、

アイコンが大抵サービス名の頭文字とかになって、

味気ない感じになってしまうことが多いです。

キャラがいる場合はその顔を使うことでつぶやきに人格を与えることができるので、

ユーザーとフランクに接しやすくなるし、安心感や親近感を生むことができます。

 

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不動産サービスiettyのキャラ立ちしたつぶやき運営の例。

 

 

 

3.サービス理解度に貢献

 

サービス内容が複雑だったり、理解してもらうのに一定量の説明が必要な場合に、

キャラクターがいると非常に助かります。

ただの文字の羅列だけで、延々とサービス説明をされても頭に入らないし、

情報に強弱が付きにくいのでどうしてもわかりにくくなります。

キャラクターがいると、身振り手振りをさせて図解できるし、

重要なポイントに狙いを絞って代弁させることもできます。

キャラクターは難しいことをあたかも簡単なように伝えるのが得意なのです。

 

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スマホが苦手なユーザーにもカンタン説明。の例。

 

 

4.ユーザーのターゲットを定められる。

 

キャラのテイストや役割をコントロールすれば、

ターゲットを定めてコミュニケーションできます。

 ゲーム系なら萌えキャラやモンスターなどに、

女性向けならカワイイ動物モチーフや、女の子のキャラに。

広範囲にリーチしたいなら、くまもんのような大衆向けのキャラに。

 アーリーアダプターに素早く刺さることが重要なスタートアップにおいて、

 ダーゲットを見定めたコミュニケーション展開はとても大切だと考えています。

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カップルがターゲットのスタンプ用のキャラ。はんぺんぎん (鋭意開発中)の例。

 

 

 

 一見いいことばかりのキャラクター。

でも、最後に作る際の注意点もメモしておきたいと思います。

 

 

サービスのイメージを強く支配してしまう。

良くも悪くも、キャラはサービスの顔になります。

なので、ターゲットやサービスのシズルにあわないキャラは逆効果。

しっかりと自社のサービスとの相性を吟味して決めるべきだと思います。

 

高級には見せにくい。

大抵のキャラは、カジュアルな印象を内包しています。

なので高級思考のサービスや単価の高いサービスには不向きな場合があります。

 

ピボットや事業の成長に対応しきれないことがある。

創業時はピボットする機会も多いし、事業が成長していくと徐々に大人向けの

佇まいにせざるを得なくなることがあります。

そんな時、会社のフェーズとずれてしまったキャラクターは

奥のほうで控えめに存在してもらうか、

最悪サヨナラしなければいけなくなるかもしれません。

 

飽きられない工夫が必要

キャラは使い勝手が良いので、どんどん使い倒すことができます。

が、その一方で、同じような使い方ばかりしていると、

次第に新鮮味がなくなっていきます。

そんなとき、キャラクターの新しい見せ方や、展開を

しっかり考える必要がでてきます。

二次元の存在といえど、メンテナンスが必要、ということです。

 

 

しっかり戦略を練って、それにあったものを高いクオリティで作る。

そしてそれを一生懸命運営する。

一言でまとめてしまうと、すごく当たり前のことなのですが、

これをちゃんとやるのは思いのほか難しい。

自分もまだまだだと思うので、腕をより磨いていきたいですね。