STARTUP DESIGN

新事業のデザインやブランディングを中心に、クリエイティブ全般について記録するアートディレクターのメモ帳。

誰でも萌えロゴが作れるようになる5つのポイント【前編】

 

 


「萌え萌えのロゴ作ってくれませんか?」

 
「えっ?」
 
 
とあるベンチャー企業から、そんな依頼が突如舞い込んできました。

今度ローンチするアニメ番組のロゴが欲しい、とのこと。

 

萌え萌えのロゴというものは作ったことがありませんし、

特にその手のデザインが得意というわけでもありません。

できればオシャレなカフェのロゴなどを作って暮らしたいという

淡い希望をもって生きています。

なので、若干の不安はあったものの、

その依頼主とは長い付き合いということもあり、

「いいっすよ!」と、すぐ引き受けることになりました。

 

そんなわけで、今回は「普通のデザイナー」が、

萌えを学び、萌えを表現するまでの悪戦苦闘を記録していきます。

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萌えシズルを探せ

 

まずは、萌えるロゴの定義を頭にインストールしなければなりません。

そもそも、人間は、かわいい女子のキャラに萌えているのであって、

文字やロゴにが萌えたりするものでしょうか。

 

しかし、例えば、

居酒屋にいくと看板が墨文字で書かれていたりして、食べ物を見た訳でもないのに、

それがなぜか美味しそうに見ることがあります。

いわゆる、「シズル効果」の一種です。

 

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「シズル」というとビールがしゅわ~っとなったり、

肉がじゅ~っとなったり、そういうことをイメージするかもしれません。

が、さきほどの居酒屋の事例にもあったように、

文字にはデザインの力を使って、「美味しそう」という「シズル」を

付加することができるのです。

 

同様に、「萌えのシズル」というものをきちんと理解し、

それを文字に付加することができれば「萌えるロゴ」を作ることが

理屈上はできる、ということになります。

 

なので、まずは文字における「萌えシズル」の正体を解明すべく、

日本中が萌えたであろうメジャーなアニメ番組のロゴを

比較検証してみるところから始めました。

 

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「いやいや、これ萌えアニメじゃないから」とか、

萌えアニメにあのタイトル選ばないなんてカス」

などのご指摘はご勘弁ください。

一応、萌えアニメのランキングを検索し、

その上位から選んできたものです。

 

集めてみて思ったことは、想像以上に、「萌えにとっての王道」

という方向性がかなりハッキリと存在する、ということです。

傾向としては以下のものが上げられます。

 

 

1.文字がまるい。かつ太い。

基本的にはボールドな丸ゴシック体が中心。

目に飛び込んでくるスピードがかなり早い。

TVだと数秒しか表示されないからでしょうか。

 

2.装飾的である。

ロゴのセオリーで考えると、基本的には引き算でデザインをします。

なので、星や雪などを散りばめる表現は、この世界ならではの特徴です。

グラデーションやドロップシャドウ、立体表現が多用されるのも装飾の一種です。

 

3.メジャーなフォントを使わない

モリサワなどの、デザインの定番フォントをベースに使った形跡はありません。

フリーフォントか、ゼロから作字しているものが多い印象。

メジャー感のある文字を使わないことが、

アニメにとってのメジャーなのかもしれません。

 

4.文字間が狭い。

文字と文字が接するか、あるいは重なるくらい、ギッシリと組んでいます。

CIやVIに使われるようなロゴにはこういった組み方はあまりみられません。

  

5.だいたいピンク。

とにかくピンク。ピンクが多い。

もしくは暖色系が頻繁に使われる傾向にあります。

 

 

といった感じで、一般的なグラフィックデザインの論法とは

異なる表現が多く見られる結果となりました。

しかし、これらの傾向をうまくロゴに入れ込めれば、

「萌えのシズル」を生み出すことができるはず。

では実際に萌えロゴ制作のプロセスをご紹介!

と言いたいところですが、今回はだいぶ長くなってしまったので、

そこについては来週をめどに、「後編」でまとめていきたいと思います。

 

 よろしければ、次回もお付き合いください。