プロジェクトがバイラルするまで。「森の図書室」の場合。<森の図書室 舞台の裏日記#2>
渋谷に6月オープン予定の「森の図書室」。
このお店は、会員登録すれば、本が自由に借りられて、
夜1時までお酒をのみながらゆっくり読書ができる。
いわゆるブックバーに近いものです。
発起人の森俊介くんにすっかり乗せられた僕は、
このお店の立ち上げのアートワークやディレクションをしているのですが・・
うれしいことに、このプロジェクトが猛烈な勢いで、ネット上で拡散しはじめているのです!
ティザーサイトを公開してからわずか1ヶ月の間に、
把握しているだけで、
掲載されたWEBメディアは50以上。
雑誌、ラジオ、TVの取材は40件以上。
FBページのいいね数も一気に4200を獲得。
正直、こんなにとりあげていただけるとは
まったく思っていませんでした。
どうして、こんなに大きなバイラル現象がおきたのか。
後学のために、自分なりにまとめてみることにしました。
1:クラウドファンディングがバイラルした。
考えられる一番大きな要因は、クラウドファンディングサービスの、
「CAMPFIRE」に参加したこと。
http://camp-fire.jp/projects/view/997
クラウドファンディングとは、本来、
不特定多数の方からお金を集めるためのものです。
しかし、僕たちは、お金を支援していただくことよりも、
多くの人にこの活動のことを知ってもらうことに重きを置いていました。
そこで、出資者の方に対し、
徹底してハードルの低いプランで投稿したことろ、
多くの方々に支持していただくことができました。
2014年5月23日現在で、
この投稿に対してのいいね数は6200を超えています。
出資額は570万円以上にものぼり、
出資していただいた方の人数は860人。
日本のクラウドファンディングにおける
過去最高のパトロン数は1200人とのことなので、
ひょっとしたら・・ですが、
日本記録更新!
なんてこともあり得るかもしれないのです。
いいね!を押してもらったり、出資してもらうことで、
どんどん SNS上での拡散が発生。
本来、開店前のお店というのは、
こういった情報を拡散できる装置を持っていないのが普通だと思いますが、
森の図書室はクラウドファンディングに参加することで、
多くの人にこのプロジェクトを
知ってもらう導線を獲得することができたのです。
2:選んだ単語がバズりやすいものでできていた。
「渋谷」「夜」「酒」そして「図書室」。
これらは、この空間の独自性を出すために、
打ち出していたワードなのですが、
僕はここに並んでいる単語が、
拡散に大きく貢献していると考えています。
バイラルするキーワードの作り方には、
人によっていろんな方法論があると思いますが、
僕は「単語の組み合わせにインパクトがあるかどうか。」
ということが重要だと思っています。
「渋谷」「夜」「酒」というちょっとワルそうな言葉が、
「図書室」という真逆の優等生ワードと組合わさることで
妙にインパクトを発し始め、新しい響きの言葉に聞こえてきます。
「渋谷の図書室」「夜の図書室」「酒が飲める図書室」・・
これらの単語が、ネット上でユーザーさんの手によって
うまい具合にミックスされていったことによって
話題にしたくなる、ひっかかりのある ワードとして
機能していったのではないかと思います。
仮に僕たちが「図書室」を「ブックバー」と表現したとしたら、
「渋谷」も「夜」も「酒」という言葉も、インパクトを失っていたのではないでしょうか。
「渋谷の酒が飲める夜のブックバー。」
意味自体はそんなに変わらないとは思うのですが、
もしも後者の言葉を選んでいたら、
今のように話題にしていただくことはもっと少なかったかもしれません。
3:インフルエンサーの人たちに想いが届いた。
ブログを書いていて実感することは、
インフルエンサーの方が2人反応してくれれば、
その記事はバイラルし始める、ということです。
今回の場合ありがたいことに、
初期の段階で、非常に影響力の高いインフルエンサーの方が
2、3人、プロジェクトのことをツイッター上で拾ってくれました。
これが明らかに呼び水になりました。
インフルエンサーのつぶやきやシェアがトリガーとなり、初速のPVが生まれる。
そのPVを察知してブログニュースメディアである、グノシーや、はてぶに掲載され、
さらにPVがあがっていくと、ヤフトピなどの超メジャーなWEBメディアがとりあげる。
それが最終的に、雑誌やラジオ、TVへと波及していく。
こういった連鎖が、瞬く間に広がっていくのを、
このプロジェクトで目の当たりにすることができました。
非常に貴重な経験だったと思います。
4:森くんの人柄。
横で見ていて心配になるくらい、彼は儲けることに執着がありません。
純粋に「読書」という文化を通して、
自分がずっと作りたかったもの、
みんなが欲しいであろうものを追い求めています。
そのため、彼が発信している内容は、
いやらしさも下心も感じることがなくダイレクトに伝わってくるように思えます。
もちろん、森くんの気持ちがPVにどう影響しているかなんて、
数値化も計測もできないのですが、
彼の想いの強さが共感を生み、
バイラルを加速させている大きな要因になっているのではないかと
僕は考えています。
まとめ
今まで8年くらい広告を作ってきましたが、
恥ずかしながら、 広告費を一切つかわずに、
ここまで大きなバズを生んだことはありませんでした。
・ユーザーさんが本当に求めているものを、
・導線をきちんと整理した状態で、
・誰でも参加してもらえるハードルで
・想いを嘘なく真摯に発信する。
こういったことが守られていれば、
プロジェクトは大きな推進力を得ることができるのだと、
改めて思い知らされました。
森の図書室のオープンは6月中旬になる予定ですが、
応援してくださってる方々の期待に応えられるように、
力を尽くしたいと思っています。
次回の森の図書室 舞台の裏日記は、
開店直前の様子か、
オープニング当日の様子について書きたいと思っています。
次回もよろしければお付き合いください。
つづく。