Gunosyの大幅リニューアルやCM展開について、広告屋のデザイナーが考察してみた。
巷を騒がせている、ニュースアプリGunosyの
大幅UI改訂につづく、ウルトラマンを起用したTVCM展開。
今回は広告を生業にしているデザイナーという目線から、
このリニューアルを考察してみました。
ニッチからメジャーへ。
今回の一連のリニューアルのデザインと、広告クリエイティブからわかることは、
アーリーアダプターをコアターゲットにしたニッチメディアから、
オールターゲットのメジャーなメディアに生まれ変わる
という意思が徹底して反映されているということです。
CMを打つという決断はもちろん、プロダクトのUI、ロゴのデザインにいたるまで、
すべてに一貫して表現されています。
平たくいうと、
ネット周りのマニアックなユーザーだけでなく、
スマホ買いたてのお母さんとかお父さんとか、
一般市民もぜ〜んぶ狙っちゃうぞ!
というスタンスに変わったということです。
どの辺がそうなのか、TVCM、ロゴ、UIを例にまとめてみました。
広いターゲットを意識したTVCM
今回公開されたCMは2本。
プレゼン直前のサラリーマンを描いた「プレゼン編」と
面接直前の就活生を描いた「面接編」
どちらも「3分」で読めるというキーワードで
ウルトラマンと引っ掛けているといったCMです。
TVCMを打つという選択をしている時点で、
アーリーアダプターとその周りのユーザーではなく、
ネット民ではない潜在的なユーザーをとりにいっていることは明白です。
さらにウルトラマン(1966年〜)という
かなり上の年齢層までアプローチすることができる
キャラクターを起用している点を見ると
他社のアプリのCMと比べて、
けっこうターゲットを広めに設定しているのではないでしょうか。
(20〜50代くらいの男女?コアターゲットは20代〜30代?)
大成功したのは記憶に新しいですが、
あのCMよりもだいぶ広範囲のターゲットを狙っている印象です。
メジャー路線へのロゴデザインの改訂
前のロゴは一言でいうと「ストイック」
書体は断定することはできませんでしたが、Minionなどの、
いわゆる古典的なオールドスタイルの書体を少しいじって作ったものだと思われます。
カラーも白黒オンリーというストイックさ。なので、前のロゴはWEBサービスでありながら、紙媒体のような硬派さやニッチさがあるロゴでした。
(僕はこの硬派さが逆に好きでしたが。)
今のロゴは一言でいうと「大衆的」
赤と青という補色に近い配色にすることで明るく開けた印象がするし、
紙飛行機というカジュアルなモチーフを持ってきているのも、
広範囲のライトユーザーを意識している感じがします。
また、表記をGunosyからグノシーに変えているのも、
英文字表記のクールなたたずまいよりも、
誰にでも伝わる大衆性を優先した結果と思われます。
全方位型メディアを意識したUI変更
UIについてはもうすでにたくさんの方が賛否両論を書かれていると思いますが、
従来のパーソナライズされた情報を発信するためものから、
スマートニュースを強烈に意識した全方位型のメディア、UIに変更。
こちらもより広いユーザーに向けた、徹底したメジャー路線です。
まとめ
これらのTVCM、ロゴ、UIのクリエイティブから、
オールターゲット、オールジャンルに振り切った
戦略だということが強く伝わってきます。
ニュースアプリとしてより多くのユーザーを獲得していくためには、
この流れは必然のようにも思えますが、
これだけ広範囲のターゲットにリーチしようとすると、
その分一人あたりの効果も薄まってしまうので、
結果として多くの広告出稿量が必要になるのではないかと思います。
12億もの大規模なファイナンスをしたGunosyですが、
広範囲の広告出稿を続けるのはさすがにしんどいはず。
単発のCMで一気にネット外のユーザーの認知を獲得して、
そのあとはグロースハック的に拡大していくという戦略でしょうか。
今回のCMでどれだけ潜在ユーザーを獲得できたかで、
このリニューアルの明暗が大きく分かれるように感じました。
好きだったジャズミュージシャンが
J-POPに転向しちゃったみたいでちょっぴり寂しいですが、
とはいえ、僕もGunosy愛用者の一人。
これからもぜひ頑張って欲しいという思いです。
今後の動きがとても楽しみです!