渋谷に「夜の図書室」を作るにはどうすればいいのか。中の人たちの奮闘記。【森の図書室 舞台の裏日記#1】
1ヶ月ほど前、1本の電話がありました。
「村越先輩、おりいって相談があります!」
「森くん??久しぶり。急にどうしたの?」
電話の主は、森俊介。彼は高校時代、もっとも仲が良かった後輩です。
卒業してからも、ちょくちょく交流はあったものの、
電話で会話するのはかなり久しぶりでした。
せっかく久しぶりに連絡をもらったのに電話で済ますのもなんなので、
近所のカフェでかるくお茶でもするか、ということになりました。
森「実は、渋谷に図書室を作るのを手伝ってほしいんです!」
村「図書室??」
森「はい!渋谷にみんなが自由に本が借りれて、
楽しいと思うんですよね!
なにより自分が行きたいし!!」
↓図書室の一角をモックにしたもの。実際のスペースは70畳。
この言葉を聞いた瞬間、2つのことが頭に浮かびました。
1つは、「なんて夢いっぱいなプロジェクトだろう!!」ということ。
もう1つは、「これ、果たして食っていけるのだろうか??」ということ。
この図書室の主な収益源は飲食代や席代になるとのこと。
食事といっても、軽食のみとなるので、
ひらたくいうと、「本が借りれるバー」ということになります。
バーというのは、1人で小スペースでまわす分には比較的利益が出しやすい、
という話を聞いたことがありました。
お酒も食べ物も保存が効きやすいものが多いし、
ケータリングサービスなどと連携すれば、
廃棄率を通常の飲食店よりもかなり抑えることができるらしいのです。
しかし、それはあくまで小スペースでの話。
かたやこっちは、渋谷の1等地のうえに、70畳という規模の図書室。
オープン時からかなりのお客がついていなければ、
あっというまに資金が底を着いてしまうのではないだろうか。
ITベンチャーなら、参入、撤退、ピボットなどはよく行われるし、
深手を負わないように進めることもできます。
一方、リアル店舗がそこに抱えるリスクはかなり大きい。
彼は出店するだけで、自己資金のほとんどを失ってしまうのですから。
そんな危険な勝負に打って出ようとしている後輩を、
いいじゃん!やれやれ!などと軽々しくあおって良いものだろうか。
そんな期待と不安が入り交じっている僕をよそに、
森くんのほっそい目の奥はキラキラ輝いていました。
アートディレクターという職業柄、
いろんな起業家と会うことが多いのですが、
森くんの目と話には彼らと同じ、
どんな困難があっても、絶対やり遂げる。
という強い意志がこもっているのがひしひしと伝わってきました。
そんな調子で、数時間に及ぶ暑苦しい打ち合わせに突入。
森くんの熱意に突き動かされたのか、ただ乗せられただけなのか、
結局僕も「よっしゃ!みんなが見たことないような、超素敵な図書室にしてやろうぜ!」
などと息巻いて、「森の図書室」プロジェクトはスタートしたのでした。
しかし、僕らやる気とは裏腹に、問題は山積みでした。
とりわけ重要視していたのは、
オープンまでに、いかに多くの人たちに森の図書室のことを知ってもらえるか、
ということ。
アートディレクターとして、ただビジュアルを作るのではなく、
バイラルする仕組みや導線をどうデザインするのか。ということ。
それが成功しなければ、プロジェクトの船出は、
困難なものになるであろうことは容易に想像がついていました。
しかし、この課題は、ある方法によって急激にバズりはじめ、
僕らの想像を大きく超える形で解決の兆しを見せていったのです。
長くなってしまったので、
その方法については来週あたりまた詳しく書かせていただこうと思います。
よろしければ、次回もおつきあいください。
つづく。
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